『アンボス・ムンドス』
桐野夏生『アンボス・ムンドス』を読む。
装丁はかわいらしいけど中身は真っ黒。
この人、基本的に長編の方が合ってると思うけれど。
人間、特に女性の悪意を描かせたら、今右に出るものは
いないんじゃないかなぁ。
一番初めの「植林」と「毒童」は「自分の境遇を恨み、他人の幸せを
妬む」ことをの醜さとおぞましさが嫌というほど描かれている。
「ぱっとしない私」を肯定しすくい上げる系の小説はわりと
あると思うけれど、それをここまで露悪的に描いてしまうのは
やっぱりすごい。努力をしないで全てを他人のせいにし、
世の中を恨んで生きることほど醜いことはない、、と、ハッと
させられる部分もあったり。
表題作は小学生の悪意の罠にはまった教師の物語。
こちらも子供の、子供だからこその非情なまでの悪意の
空恐ろしさにぞっとさせられました。
小説家の娘に生まれた女を主人公にした「浮島の森」は
ちょっと雰囲気が違って、ちょっとレトロ感のある文壇系の話。
わりと好きです。
「好き」な小説では決してない。でも読む価値はある。
そんな一冊。
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