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2006年6月 5日 (月)

『アンボス・ムンドス』

桐野夏生『アンボス・ムンドス』を読む。

装丁はかわいらしいけど中身は真っ黒。

この人、基本的に長編の方が合ってると思うけれど。

人間、特に女性の悪意を描かせたら、今右に出るものは

いないんじゃないかなぁ。

一番初めの「植林」と「毒童」は「自分の境遇を恨み、他人の幸せを

妬む」ことをの醜さとおぞましさが嫌というほど描かれている。

「ぱっとしない私」を肯定しすくい上げる系の小説はわりと

あると思うけれど、それをここまで露悪的に描いてしまうのは

やっぱりすごい。努力をしないで全てを他人のせいにし、

世の中を恨んで生きることほど醜いことはない、、と、ハッと

させられる部分もあったり。

表題作は小学生の悪意の罠にはまった教師の物語。

こちらも子供の、子供だからこその非情なまでの悪意の

空恐ろしさにぞっとさせられました。

小説家の娘に生まれた女を主人公にした「浮島の森」は

ちょっと雰囲気が違って、ちょっとレトロ感のある文壇系の話。

わりと好きです。

「好き」な小説では決してない。でも読む価値はある。

そんな一冊。

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